エアコンのカビについて

 夏のエアコンは排水ホースからジャンジャカ水が流れ出し、いかにも湿気をとっているのがわかります。ところがなぜか湿気をとっているエアコンの中ではカビが大繁殖!近年メーカーもこれを認めて、掃除のしやすさやカビの繁殖を押さえる工夫を始めました。エアコンにカビが発生すると運転開始時やひどいと運転中にまで悪臭を放ち、エアコンの風にのって多量のカビが部屋中に広がることになります。これらのカビはアトピーやアレルギーの原因にもなるそうです。エアコン内部で繁殖するカビはクロカビ、コウジカビ、アオカビ、クモノスカビなどがあるそうです。

 それではここで、エアコン内部になぜカビが発生して増えていくのかを考えてみましょう。

 この図はエアコンの室内機の断面イメージです。エアコンは前面と上面から室内の高温で湿気を含んだ空気を吸い込み内部の熱交換機でそれを冷却することで湿度100%を越えた湿気をとらえ水滴にして排水ホースから排出しています。ここで注目すべきことは100%を越えた湿気を排水された後のエアコン内部の空気はなんと湿度100%なのです。吸入された夏の空気が温度35℃湿度70%な時のエアコン内部の空気は温度25℃湿度100%ということになり、カビが成長繁殖するのにはもってこいの環境がエアコン内部にできあがっているのです。

 また、このことはエアコンを洗浄するべきなのは熱交換機の後ろから吹き出し口ということが理解できるでしょう。左の図では水色の部分です。

熱交換器に生えたかび

 カビに覆われてしまって全く効かなくなってしまったエアコンのパネルを取り外したところ。設置場所は寝室。熱交換器がカビで完全につまってしまい空気が通り抜けないので故障と勘違いされた事例。最初は効きがだんだん悪くなり振動と騒音がしてきたがそのまま使い続けたらこのようになってしまったらしい。

 上のエアコンを分解洗浄後、熱交換器を見たところ。振動、騒音はファンに成長したカビによる物。熱交換器のめずまり目詰まりもなくなり新品当時の冷房能力に回復した。寝室は人間の新陳代謝による細胞のかけらがエアコンに吸い込まれそれらが濡れて腐り悪臭やカビの原因になりやすいので3年を目安に洗浄するのがよいでしょう。

ファンに生えたかび

 エアコンの吹き出し口から内部にある送風ファンをのぞき込んだところ。ファンの一枚一枚にカビが生えているのでファンがよく見える。

 洗浄後のファンをのぞき込んだところ。ファンそのものは黒い樹脂でできているのでファンの一枚一枚が見えにくくなっている。出口のルーバーは外してある。