直さない?直せない?直らない?

 故障した電気製品が古い場合、古いからと修理をあきらめるのは普通の事ですが、中には古いと言う理由だけではあきらめられない特別な存在になっている事もしばしば見受けられます。

 これはエジソンで修理完了後テストパターンを表示して画像を確認しているテレビです。わけあって宅急便ではるばる運ばれてきた。

 このテレビの側面に貼られている製造年月を示すラベル。1975年製であることが分かる。写真の撮影は2002年11月なので27年の年月を生き抜いてきた事になる。このテレビと同じ年に生まれた人はもう大人になっている。

 テレビと一緒に送られてきたメーカーサービスの受付伝票。ICが入手不能の為修理が出来ないと説明されている。

(画像の一部にモザイク加工がしてあります)

 修理の為交換したパーツ。コンデンサーは経時変化による劣化の可能性があるため念のため交換した物。トランジスターの劣化による抵抗の断線が直接の故障個所。メーカーの言うICはこのテレビには使用されていない。

 今回のケースの場合、使用者の思いが修理技術者の思いとすれ違った為に生じたケース。古い電気製品の修理をする場合、修理完了後、別の故障が発生する事によるクレームリスクを避けたいと言う気持ちが修理技術者にあるのは当然のことであり、理解できる。しかし、事実と異なる理由を告げるのはいかがなものか。この修理で使用者はメーカーの判定費用と、往復の送料、そしてテレビの修理代を負担したことになる。